レポート#111 里山十帖の採用 「共感」 |
新潟県魚沼市の秘湯にある大沢山温泉にある宿、里山十帖
過去に私たちのブログでもとりあげた「自遊人」。採用情報メッセージや、FAQのつくりかたなど、すてきなと思い、何度か綴りました。
その自遊人を率いる代表取締役/クリエイティブ・ディレクター岩佐十良さんが2014年に立ち上げた宿です。
ホテル・旅館、さらに地方都市ということを考えると、その採用には、とても苦戦しているイメージがありますが、そこは岩佐さんの宿。
自遊人ってどんな会社ですか?と聞かれて、「常識を常識と考えない会社」と答えるのですから、前代未聞であることも、他社に例がないことも、どんどんやる会社。
「横並びの求人では採用できない」と、仕事のマルチタスク化、早番、遅番をつくりメリハリの効いた働き方の提供。他のところで常識と考えられている未経験者採用やシフトなど、従来からある考え方、それも変えた方がよいということを思い切ってする。
サービススタッフの多くも「里山十帖」の考え方に共感して、全国から応募してきた人を採用しています。何人もスタッフが「働きたい」と集まってきたのです。
外資系企業の通訳、豆腐屋の三代目、大手通信会社の人材教育部、レストラン経験者。一般的な旅館のサービス部門とはかなり異なる多彩な顔ぶれです。
「旅館のサービスは特殊なのに、経験者をひとりも入れないでよく運営できますね」とよく言われたそうです。でも、岩佐さんは、むしろ未経験者だからこそ、成り立っていると考えているそうです。
とはいえ、当初、料理人の採用には苦戦したそうです。岩佐さんが目指したのは、旅館料理とは全く違う新しい形の地産地消の料理。土の力を感じる、素材の味を活かした料理。新潟の伝統野菜や山菜、魚沼産のコシヒカリ・・・そんな素材と地域の食文化を取り入れた、新しい「地方の食」を目指す。
自分のメッセージを明確に伝えても、全く響かず、集まらなかったのです。
それでも、軸をぶらさず自分のやりたいこと伝え続けます。
その中で、料理の現場をみているチーフ・フードクリエイター(料理長ではなく、料理もクリエイターでなければならないという想いから・・・こんなところにもこだわりを感じます)の北崎さんと出会います。
その出会いも、北崎さんが実際に里山十帖に泊りにきて、そこで岩佐さんと話し意気投合して、お店を締めて、結果ジョインする。
京都の名門で修行し、金沢で自分のお店をもっていたのに、迷わず一緒になる。
一つの出会いも、また共感。
「体験と発見こそが真の贅沢」それが里山十帖の考えるラグジュアリー。想いの積もった経営者の宿。一度泊まってみたいものです。