レポート#108 ノーラン・ブッシュネルの採用 「クリエイティブな人材を見つけるための質問」 |
ノーラン・ブッシュネル。
あのスティーブ・ジョブズが若かりし頃
40番目の社員として在籍したこともある会社、「アタリ」の創業者。
彼はコンピューターゲームを一般ユーザー向けに開発し
世の中に普及させた「ビデオゲームの父」とも呼ばれる人物である。
ブロック崩しなど、昔の喫茶店やゲームセンターで見かけたかもしれないが
あれも彼が手がけたゲームの一つ。
彼はアタリで数々のヒットを飛ばし、その後いくつもの企業を立ち上げた
連続起業家(シリアルアントレプレナー)としても有名である。
彼自身はエンジニアでもあったが
その技術以上に優れていたのは、クリエイティブな社員を採用する技術と
彼らの力を存分に発揮させる、組織運営の才覚だった。
スティーブ・ジョブズも彼を師と仰ぎ
アップル創業時には、メンターのような存在でもあったという。
私が彼の存在を知ったのは一冊の本である。
「ぼくがジョブズに教えたこと」
サブタイトルに「才能が集まる会社を作る51か条」と書かれた本だ。
タイトルの通り、ブッシュネルの考える
イノベーションを起こし続ける組織づくりのアドバイス集である。
とりわけ、面白いのが採用に関する記述が半分近くもあることだ。
しかも、その内容はかつてのリクルーティング手法の疲労ではなく
非常に本質的で、今でも十分に通用する内容となっている。
例えるなら
世界で最もクリエイティブな人間が考えた採用アイデア集といったところか。
アイデアに困った時は、ぜひ一読していただきたい。
その中に、「面接ではおかしな質問をせよ」という内容がある。
面接の場面で、
「どの大学に行って、何を学びましたか」や
「当社を志望した理由は?」とか、
「この分野での経験を教えてください」
などと言った質問は
すでに用意された回答のやりとりになってしまう。
クリエイティブな人間を見つけるためには、おかしな質問をすることだと
彼は主張する。
意外や質問や突飛な質問、関係のなさそうな質問を投げかけてみる。
正解や解決策を期待しているのではなく、候補者がどう考えるのかを見るのが目的なのだ。
例えば、ノーラン氏は候補者を昼食に連れて行く。
綺麗なレストランではなく、いわゆる大衆食堂だ。
そこでノーラン氏は候補者にこんな質問をする。
「このレストランのテーブルの下にガムはいくつ付いていると思う?」
そこで、「そんなこと、分かるわけありません」」と答える人を彼は採用しない。
でも、
「わかりませんが、、、でもガムを噛みながら来店する人が多いようですが食べ物が出てきたあともガムを噛んでいる人はいません。
ということは、ガムをどこかに貼り付けてしまう人もいるでしょうしテーブルの下という人もいるはずです。
また、ここはすごく綺麗なカフェとは言えないので店員も掃除をまめにしてないと思われるため、1つのテーブルに、、、、」
と、こんな回答をする人もいるという。
この推測が当たっているか否かはどうでもいい。
大事なのは、こうしたふとした問いに分からないとシャッターを下ろすのではなく、まず考えてみようとする人物が欲しいのだ。
こうした問いに「好奇心」をもって取り組めるのか
答えのない問題に、取り組む意欲があるのか
クリエイティブな人材を獲得するために
大事にしている質問のひとつだと、紹介している。
みなさんも、クリエイティブな人材を獲得したいなら堅苦しい面接のやりとりをやめて、こんな質問を用意するといいかもしれません。