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コラム #100 ピンチこそ現場のリーダーシップが見えてくる |
2011.04.16 Saturday
コラムが記念すべき第100回を迎えました。スタート当初1年半前は、毎日5〜10ぐらいのアクセスだったのが、今は多いときでは1000近いアクセスを記録する事もあります。皆様のアクセスが励みになり、ここまで続けることができました。本当にありがとうございます。まだまだ研究が足りずにぐっとくる内容が書けない事も多いのですが、これからはより実践的に活動して参ります。近々海外企業への取材も行う予定ですので、楽しみにしていてください!
さて、通常のコラムに戻りましょう。
3.11の地震から約1か月がたちましたが、「あの地震が何だったのか?我々に何をもたらしたのか?」とう問いかけは様々な方のブログやツイートなどで活発に行われています。
その中でも、東京大学教育研究センターの准教授である中原さんは、「見えないもの」と「見えてしまったもの」というテーマで、地震で見えてしまった組織の姿についてブログで綴っています。「この地震で普段見えにくかったものが、可視化してしまった」とは、本当にその通りだと思います。
中原さんが書かれているように、この地震で、トップの判断力、上司や同僚の危機意識や価値観の違いなども見えてしまったのですが、逆にすばらしい力も見えました。
それは、「現場力」です。
私もこの地震後の様々な企業活動を調べましたが、ピンチにこそ、現場で働く社員のリーダーシップがよく見えました。
それは、トップが「こうしなさい!」と指示したものではなく、現場の社員たちが自らの判断で自発的に動いたことです。
私は、そんな姿に企業の底力が見えると思いました。
例えば、先日ブログでも紹介した福島県を中心に展開しているヨークべニマルさん。震災後どこよりも早くお店を再開したのは、トップからの指示ではなく、現場の店長の判断とそれに賛同するメンバーの献身的な協力があったからです。
JR貨物も、早急に被災地に石油を届けようとの号令がかかったのも、現場の声からだそうです。線路の安全確認も迅速に行い、大量の石油を集め、19日には被災地に届けることに成功しました。詳しくはこちら
そして、エアポートテストというユニークな採用試験を紹介したGoogleも震災後、「Person Finder」「自動車・通行実績情報マップ」の災害向けサービスを、たった2週間で30も立て続けにリリースしました。特に行方のわからない人を探すためのサービス「Person Finder」は、シンプルで誰でも使いやすいサービスで、NHKなどでも活用のアナウンスをしていました。そのリアルなレポートはこちら
これ以外にも様々な現場で、リーダーたちの奮闘記があったと思います。
共通しているのは、「今の仕事を通じてすべきこと、できること」を現場のリーダーたちがよくわかっていることです。そして、それは一人ではなく、周りの社員が同じマインドをもっていることで、さらにスピードと質が向上します。
つまり、「自分たちの会社は何のために存在しているのか?社会にどんな貢献ができるのか?」
そうした根源的な問いを、社員自身が考え、社員同士が語り合っている。そんな組織でないと、こうしたスピードある対応はできないのだと思います。(K)