レポート#066 ロート製薬の採用 『血の通ったやりとり』 |
3月に入り、2012年度入社向けの新卒採用活動は盛んになってきています。
私の所属している会社は、様々な企業の採用事務業務をアウトソーシングしているため、この時期は企業と学生の間に立ちながら、様々なやりとりをしています。
そんな中、最近の傾向として顕著なのは、企業の採用専用ダイヤルがならないことです。
学生から電話がかかってこないのです。
選考についての質問や説明会の予約変更、キャンセルなどの連絡はメールを通じてが主流。
また、企業からの連絡もリクナビや企業専用のマイページなどを通じて、ネット上で公開されたり、メールを通じて参加の確認などを行うことが多いです。
リアルな双方向のコミュニケーションは、選考が進んでから、ということになります。
エントリーしている学生が、5000人や1万人を越える企業の場合は、効率性を考えると、そうせざるを得ないのです。
しかし、今回ご紹介するロート製薬さんの採用活動は、その流れに逆らっていてユニークです。
毎日就職ナビを通じてロート製薬さんが出しているメッセージをご紹介します。
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―学生一人ひとりと本音で語り合う、よろこびっくりな採用活動『生コミ』です!―
就職活動の時期には、たくさんの学生の皆さまとお会いさせていただきます。
それはとても光栄なことですが、ずっと気になっていることがありました。
それは「学生と本音で語り合うことができているのだろうか」ということ。
入社を希望される学生一人ひとりとしっかり向き合い、本音をぶつけあって、お互いが理解し合った上で入社してもらうことが、採用活動の本来あるべき姿ではないだろうか…。
そんな想いから採用活動を見直し、昨年から直接対話にこだわる『生コミ』に取り組みはじめました。
相手に本音を伝えるならば、直接話すことが不可欠だと私たちは考えています。
そう、例えば好きな人に告白する時、メールで気持ちを伝えますか?
きっと、直接伝えたいと思う方が多いのではないでしょうか。
気持ちを伝えられる相手もきっと、直接のほうが嬉しいはず。
そんな信念をもとに、密な人間関係を築くきっかけになってもらえればと、今年もさらにブラッシュアップした『生コミ』を継続いたします。
ロート製薬に興味をもっていただけたなら、とにかく一度お話をしましょう。
何を話すか、そんな準備は必要ありません。
あなたの『人となり』をそのまま伝えてくれることが、「あなたを知りたい。ロート製薬を知ってもらいたい」と感じさせてくれるいちばんの原動力になるのですから。
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ロート製薬さんの採用スタンスが伝わるよいメッセージです。
そしてロート製薬さんはこの『生コミ』を実践する一つの手段として、「電話」をメインのコミュニケーションツールにしているのです。
ですからロート製薬さんの採用HPなどにはメールアドレスは見当たりません。
代わりに担当者の顔写真と電話番号が明記されています。
(現在は応募終了のため確認できません)
学生は説明会の参加には電話をかけて予約しなければなりません。
企業からの参加の確認や合否連絡も当然電話がかかってきます。
こうした採用を行っている企業は少ないため、学生の戸惑いが就職活動掲示板「みんなの就職活動日記」を読んでいると伝わってきます。
「1月11日大阪で説明会(研究開発職)受ける方いらっしゃいますか??
手帳に時間をメモしたんですが、時間が読めなくなってしまいました(汗」
「2/8の午後に東京で説明会予約しているんですが、他の企業の選考とかぶったので午前に替えてもらいたいのですが、電話すれば同じ日の午前に替えてもらえたりするのでしょうか?」
「(選考の合否連絡が)まだ着てないです。電話なのでドキドキしますね!」
学生も色んな気を使い、慣れないことで大変ですが、社会人になる前のよい試練ですね。
でも、もっと大変なのは、多くの学生と対峙することになるロート製薬さんです。
おそらく、応募者は数千人規模ではないでしょうか?
それほどの規模が予想される学生の電話応対相当な覚悟が必要だったのではないかと察します。
しかし電話だからこそ、得られる情報が沢山あるのも事実です。
ここからは私の経験上で選考における電話の利点を上げたいと思います。
・学生の志望度が図れる。
→電話程度で面倒だと思ってかけてこない学生を省く。
・学生の気遣い、配慮がわかる
→電話応対においてこちらを気遣う言葉が自然と出てくるかが分かります。
(もちろん敬語もチェックできます。)
・合格連絡で学生の志望度がわかる
→選考の合格連絡も、淡々と受け答えたのか、とても嬉しそうだったか?などメールではわからなかった反応を確認することができる。
・学生の家庭の様子がわかる
→仮に連絡先が自宅であった場合は、ご両親の取り次ぎ応対などを通じて、ご家庭の様子などがちらっと見えたりする。(ある会社では「うちの子は御社のような会社には行かせません!」と電話を切られたこともあるようです。)
もちろん、学生にとってもHPなどの情報では伝わらない企業の姿をリアルに把握することできます。
そうした採用スタンスに共鳴する学生も多いのではないでしょうか?
ロート製薬さんの新卒採用ページには、こんなメッセージがあります。
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採用は本来、お互いにどんな人物なのかを確かめ合うこと。
スタートからゴールまでお互いを直に感じられる血が通ったやり取りがしたい。
こんな私たちの考え、どう思いますか?
あなたの意見をお聞かせください。
まずはお電話にて話しましょう。
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学生と真正面からぶつかる、そんな気概を感じる素敵な採用活動です。