レポート#9 ポジカルの採用 『未来の採用?』 |
セカンドライフは、アメリカのリンデンラボ社によって開発された3Dオンラインゲームであり、
アバターと呼ばれるユーザーの分身が、仮想世界での生活を体験するものだ。
現在では、世界で700万人を超えるユーザーを抱えている。
このセカンドライフ内において、国内初の就職支援サービスを提供しているのが、
今回紹介する「株式会社ポジカル」だ。
2007年創業とまだ立ち上がったばかりのベンチャー企業だが
様々な就職支援会社がある中で、その存在はユニークである。
彼らが着目したのは、リアルな就職活動では出来ないセカンドライフの利点である。
まずは「場所と時間」。
Face to Face の説明会や選考は、どうしても場所と時間に制約が
できてしまい、参加できる対象者を限定してしまう。
しかし、セカンドライフであれば海外や地方の学生にも参加の可能性を広げることができる。
また、最近NHKにも取り上げられたという、「インフルエンザ対策」として
セカンドライフ内での説明会は時流にのったサービスで、まさにこの利点を生かしたものだ。
もうひとつが「体感」である。
面白いのはバーチャルの可能性を追求した会社訪問。
実際のリアルな会社の模倣だけではなく、その会社の創業期や未来に
タイムスリップすることができ伝えられないメッセージを感じてもらうこともできる。
もちろん仕事体験も、リアルの世界では様々な障壁があるものを
このバーチャルの世界では自由にアレンジすることできるのである。
まだセカンドライフ自体の普及が爆発的に伸びていないこともあり
企業の認知もまだ少ないものの、
次の世代の採用試験の可能性を広げようとする勇敢なトライだと思う。
ただ、ここで紹介したいのが株式会社ポジカルそのものの採用試験である。
こういったサービスを提供している会社であるので
採用試験はなんと、最終試験まではすべてセカンドライフ内で行なわれるというのだ。
気になったのが、
「本当にバーチャルの世界で選考が出来るのか?」
ということだ。
その採用の裏側を、社長の白井氏に話を聞くことができた。
「今までセカンドライフ内の就職支援は、『情報提供』がメインだったが
選考が本当に出来るかどうかは、我々にとっても挑戦だった。
ただ、数回の選考を経て、最終面接で2名の学生に実際に会ったのだが、
言動、行動などはバーチャルの世界で感じたものと良く似ていたのだ。」
面白かったのがその最終試験の内容。
実際に出会った2名の学生に、自社ビル内の飛び込み訪問と名刺交換をさせ
夜は居酒屋に連れて行き、そのでのやりとりまでもチェックしたのだそうだ。
超デジタルと超アナログな採用。
その大きな触れ幅に笑ってしまったのだが
実は、未来の採用を先取りしているのかもしれない。