レポート#051 ケムテック(ブラジル)の採用 『クイズ大会』 |
今回は、無名の小さなベンチャー企業が、ユニークな採用方法で
大手企業も欲しがる優秀な人材を獲得できるようになった事例をお伝えしたいと思います。
ご紹介するのは、ブラジルにあるケムテックという化学系ベンチャー企業です。
ケムテックは1990年に3人の創業者でスタートしたのですが、
優秀な人材こそ企業成長のカギと考え早々に優秀な学生の採用に乗り出します。
しかし、知名度の無い彼らの会社に振り向く学生などいなかったそうです。
そんな中、通常の就職フェアではないい人材は獲得できないと判断。
みんなで知恵を絞って考え付いたのが、「クイズ選手権」だったそうです。
同社はブラジル各地の主要な12の大学の学生を対象にクイズ選手権を実施し
それぞれのチャンピオンをインターンとして採用しています。
各大学で60人に1人程度しか選ばれない狭き門ではあるが
選ばれた学生は手厚く迎えられ、数ヶ月間単なる見習いではなく、
即戦力として仕事を任せられることに誇りとやりがいを感じるのだそうです。
実際、この突飛なアイデアは大学や学生に注目され、いまやブラジル国内では
有名なイベントとなりました。通常の就職フェアにも参加しなくなったのだとか。
しかし創業者のルビアーオ氏はこういいます。
「しかし、本当に大切なのは、真に『働きがいのある会社』になることであり
それを実現していかないと、大手企業に勝てない。」
そう語るケムテックは、入社後の研修制度の充実ぶりには目を見張るものがあります。
社内に大学のようにMBAコースを用意し、ブラジル国内の優秀な教授陣を招いて
本格的なカリキュラムを実施。その内容は「どの大学院にも引けをとらないレベル」とのことで
現在は、このMBAコースは正式に教育省から認可を受けているようです。
全従業員の年間1人当たりの研修受講時間は平均138時間まであるといいます。
そうした取り組みがが評価され、ケムテックは
2010年の「働きがいのある会社」ブラジル国内で第5位になりました。
どれだけ優秀な人材を採用する仕組みができても、
彼らが成長、活躍できる器を用意してあげることが大切。
ケムテックはそれを実践して成果を挙げている企業でした。