レポート#044 テクスティーグルの採用 『ケニアで1万人を雇う』 |
アフリカ、ケニアでの話。
頻繁に起こる交通事故により、病院は輸血できる血液が常に足りていなかった。
緊急に必要となる血液も、小さな病院ではすぐに手配できない状態であった。
当時、エンジニアとして現地で働いていたネイサン・イーグルはこの状況を見て、
携帯電話のSMS(ショート・メッセージ・サービス)を使って
血液が不足していること、手間をかけずに瞬時に多くの人に知らせるシステムを開発した。
このシステムのおかげで、血液不足に悩まされていた病院は、
携帯電話さえあれば簡単に血液を集めることが出来るようになる。
これが今回紹介する、テクスティーグル創業のきっかけである。
そしてテクスティーグルは「雇用」という概念に、新たな1ページを書き加えようとしている。
テクスティーグルは、この6月にボストンに本社を置き、ケニアで1万人を雇う予定だ。
実は、ケニアにオフィスもなければ、人事の面接もない。
働いているもの同士が顔を合わす機会もほとんどない。
仕事は現地への言葉の翻訳や、マーケットリサーチに協力してもらうというもの。
それらの依頼は上記の携帯電話SMSを使って送られる。
電話かメールで返事するだけで、ひとつの仕事が完了する。
携帯電話さえあれば、牛の群れを追っているマサイ族、
休み時間の高校生、バスを待っている会社員でもできる。
そして、この仕組みはケニアにいる数百人の失業者に仕事の機会を与えた。
ひとつの仕事には数セント程度の報酬だが、1日に何件かの仕事を行うと
1人数ドル稼ぐことができ、ケニアで生活している人には十分な報酬となる。
(支払いの携帯電話を通じて行われる。)
携帯電話だけで、発展途上国の人々に仕事が行ってもらうことができ
大きな仕事を細かく細分化して、大勢の人たちに小さな仕事をしてもらう。
そして、一万人の雇用を生み出すのに、オフィスと面接がいらない。
これからの「雇用」のあり方に、もっと自由な発想を取り入れてみるきっかけとなりそうだ。