--世界のユニークな採用試験を紹介する「面接の研究所」--

株式会社コヨーテのオフィシャルブログへようこそ。当研究所では、世界中の気になる企業の採用現場を調べて、そのユニークな採用試験を紹介しています。取り上げる企業は、誰もが知っている世界的な有名企業もあれば、名前も知らない小さな企業もあります。しかし、ここで取り上げるどんな企業も「仲間を募ることへの強いこだわり、熱い想い」は共通していました。そしてその想いは、求職者までもファンにしてしまうものばかりです。ユニークな採用試験の背景にひそむストーリーを楽しんでください。

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レポート#36 ザッポスの採用 『採用辞退ボーナス』

 2009年7月、Amazon.comがオンライン靴販売サイトZappos(ザッポス)の買収を発表した。
買収額は8億ドルとも900億ドルとも言われている。
Amazon自体、2007年に独自の靴販売サイト Endless.com を立ち上げていたが、
このサイトはいまいち伸び悩みを見せていたため(赤字続きだとの噂もあり)、
急速に伸びている競合のザッポスの買収に踏み切ったと思われる。

ザッポスは1999年に創立、靴を中心に衣料、バッグ、アクセサリーなどをオンラインで販売していて、ラスベガスに本社を持つ。

ここ最近では不景気にも関わらず、2008年には20%近い伸びを示した結果、予測よりも2年早く売り上げが$1 billion(10億ドル)に達したことで話題になった。

アパレルや靴関連のオンライン販売なんて競争が激しく、
また差別化がとても難しそうだが、そんな中で知名度を一気に広め、
急成長を遂げたのにはいくつかの理由がある。

その中でも大きな成長の要因は徹底したカスタマサポートにある。

24時間年中無休のコールセンターと無料の送料・返送料(365日以内の返品は
何回でもOK)を基本的なポリシーとして掲げていて、その対応には台本なし、
時間制限なし、冷たい自動音声的な対応なしという、一般的なコールセンターとは
一線を画している。

CEOのトニー・シェイは言う。

「ザッポスでは、顧客サービスを『コスト』として捉えていません。
コンタクトセンターの電話対応は、むしろ、またとない ブランディング機会だと
考えています。
五分、あるい は十分間というまとまった時間を、顧客が、何にも邪魔されずに
私たちの言うことに神経を集中して耳を 傾けてくれる、
そんなチャンスが他にありますか?」

「顧客が、ザッポスと話すために、向こうから進んで電話をかけてきてくれる。
そんな貴重な時間を、ザッポ スでは『カスタマー・フォー・ライフ』、
つまり『一生涯お付き合いできる関係』をクリエイトするために利用しているのです。]

また、彼はこうも言う。

「お客さんは『何をしてくれたか』は覚えていないかもしれない。
でも、『どんな気持ちにさせてくれたか』は決して忘れない。」

もし仮に顧客が求めている靴が、
ザッポスに無かった場合に、必ず他社のサイトを最低三個はチェックして、
その靴を入手できるところがないかどうか調べるように、教育されているのも
そのポリシーにしたがっているからだ。

「顧客は他社から買ってしまうかもしれませんが、それでいいのです。
顧客満足が得られさえすれば。顧客はその経験から、
『次はまたザッポスに来よう』と思うでしょうから」

そんなカスタマーサポートを実現させているスタッフは、
どのように採用されているのか?

これが非常にユニークなのである。

ザッポスは新たにカスタマサポート要員を採用する際、4週間のトレーニングを
義務づけ、ここでみっちりと会社の戦略、文化、顧客第一主義を叩き込む。
トレーニング終了後に「オファー」が出されるのだが、その内容が普通じゃない。

「今日会社を辞めれば、トレーニングを含めた今までの業務時間の給料に加えて、
1000ドルのボーナスを払う」というのだ。

会社としてトレーニングを受けさせるという投資をした上に、
社員にボーナスを払って辞めさせるってどういうことなのか?

実はこのオファー、新社員に対する最終試験でもあり、
1000ドルの現金に目がくらんで辞めるような社員であれば、この仕事に対する
長期的な熱意や覚悟が足らず、そんな人員は不要だと言うことらしい。

もし会社と新入社員の相性が悪いようであれば、無理して残ってもらうよりも
お金を出してでも辞めてもらった方がお互いのために良い結果になる。
それだけ強烈なカルチャーだということ、また、それだけカルチャーを重視している
ということの裏付けとも言えるだろう。

トレーニングを受けたコールセンターの新入社員の10%程度はこの時点で
現金を選んで、会社を辞めていくという。

CEOのトニー=シェイは言う。

「社員のやる気を高めるのは、お金でも出来るが、
社員が自ら動くためには、カルチャーが必要なんだ。」

お金か、カルチャーか?

この2択こそ、ザッポスが成長のために大切にした究極の選択なのだ。

 

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