レポート#31 明神館の採用 『おもてなしの心』 |
長野県にある扉温泉・明神館。
3月中旬、ある記念日のお祝いということで、
明神館に宿泊した。
松本市の中心部から、車で約30分。市街地
から離れ、奥深い山の中を走る。渓谷沿いに
作られた細い道をひたすら先へ進み、標高
1050mあたりに差し掛かったころ突如
視界が開ける。扉温泉に到着したのだ。
この地に1931年に創業し、扉温泉の雄大な
自然の恵みと癒しをおとどけすることで歴史
を刻んできた温泉旅館だ。
大自然の中にある、ゆったりとした落ち着ける空間。温泉も大浴場をはじめ、渓谷の景色
を望む自慢の「立ち湯」「寝湯」「露天風呂」「風呂付のお部屋」などバリエーションが豊富だ。
そして季節の料理のおもてなし。農場で育て
た有機野菜や地元の食材を多く使用してい
る。見ていて楽しい料理が並ぶ。その料理に
驚く。
実は明神館は、ルレ・エ・シャトーの加盟店な
のだ。ルレ・エ・シャトーは、フランスで世界的
権威を誇る会員組織で、「おもてなし・魅力・個
性・静寂・美食」という5つの憲章に基づく、厳
格な厳しい審査をクリアしたホテル・レストラン
のみが加盟店として認められる。
この基準を満たさないと、選ばれないのだ。
だから、それにふさわしい立ち振る舞いが常に求められる。その基準をクリアするには一人
ひとりのスタッフが旅館のブランドを背負っている意識を持って行動できるかにかかってくる。
「明神館で滞在する時間を、こころゆくまで楽しんでいただくために」自ら厳しいルールを課し
ているのだ。
そんな明神館が採用で求めるのは、『ホスピタリティマインドにあふれた熱意にあふれる人』
今回の宿で過ごすひときに、そのホスピタリティを感じるシーンが何度かあった。
夕食時に全員で撮ってプレゼントしていただいた記念写真。ラッピングのかわいらしさ、その
一枚の写真の渡し方。お祝いで用意してもらったケーキの届け方。子どもの小さなリクエスト
にも臨機応変に対応してくれたこと・・・思い出すだけでもいくつか出てきた。
記念日、節目にきた客人に対して、けっして目立たないのだが、スタッフのさりげない気くばり。
こういうことは普段から意識していないとできなことばかりだ。気くばり、心くばり、目配りが自然
とできるスタッフがいる。そこには、旅館の「方向性」や「こだわり」を上手くスタッフに伝え
る仕組みが根付いているのだろう。
さりげない一つひとつに「心くばり」が感じられる。
「おもてなしの心」を大切にする旅館、明神館。
いいサービスに触れると、気持ちがやわらぐ。
働いているスタッフから、明神館の採用基準が見えてきた。