【特別対談】第3話 スマイルズ遠山さん×スターブランド村尾さん |
2012.02.10 Friday
ユニークなひとたちの頭の中
―独自の切り口、思考はどうやって生まれるのか―
このシリーズに登場するのは、これまでとは違ったものの見方をして、違った解釈を加え、私たちに新しい世界を見せてくれるひとたち。そんなユニークなひとたちの頭の中は、いったいどうなっているのだろう?そんな好奇心からコヨーテ菊池が根掘り葉掘りインタビューした内容をやわらかく楽しく、ご紹介する連載企画です。
<CONTENTS>
トップ:スマイルズ遠山さん×スターブランド遠山さんプロフィール(こちら) 第3話 ミュージシャンのビジネスモデル。
村尾:最近の成功している小さな会社は、
ミュージシャンのビジネスモデルを
持っているんです。
菊池:どういうことですか?
村尾:ミュージシャンにはお客さんっていないですよね。
いるのはお客さんじゃなく、ファン。
ファンは、CDが出るっていったら、
自ら予約して買ってくれる。
ブログを始めたら、毎日チェックしてくれる。
ファン同士の交流もありますよね。
こちらが黙っていても、情報を広めてくれるんです。
菊池:お客さんではなく、ファンですか。
村尾:そうそう。
結局は、その人のセンスや発信していることに
共感してくれる人たちによってビジネスが成り立っ
ている。
これからは、この人、この会社のセンスが好き、
と言ってくれるファンをどれだけ増やせるかが
重要だと思います。
遠山:同感ですね。
うちもセンスはとても大切にしています。
私、かっこ悪いとか、恥ずかしい、ダサいってい
うのが本当に嫌で。
ブランドも会社も同じ。
自分自身を見てもらっている感覚に近いですね。
だから、お店の広告のポスターが
ちょっと曲がっているっていうだけで許せない。
菊池:そうしたセンスに気を配っていることは
すべてのブランドを通じて感じますね
だから、ファンが多い。
村尾:そうですよね。
私も、スマイルズさんがやっている全事業
のヘビーユーザーですから(笑)。
次にスマイルズさんが何をするんだろうって
すごく気になりますし、
何か新しいブランドが出たら、必ず行きます。
これはスマイルズさんが、
ミュージシャンのビジネスモデルを
完成させているってことだと思うんです。
最近の企業の多くは、
お客さんの声を聞きすぎてうまくいかない事が多い。
結局、お客さんも何が欲しいのか
わからないんですよ。
菊池:たしかに。モノが溢れてますからね。
村尾:だから、企業側が「うちのセンスはこれだ!」
という商品をリリースして世に問う。
そういう意味では
再びプロダクトアウトの時代になってきている
のではないでしょうか。
しかし、単なる製品の販売ではなく
センスやコンセプトというものと一緒に世に出す。
菊池:遠山さん、そのようにセンスを上手に経営に
活かすには、何が大切だと思いますか?
遠山:うちの会社がうまく成り立っているのは、
マネジメントができるビジネスパーソンが
経営にも現場にも、ちゃんといるからだと思います。
やっぱりアーティストだけじゃダメなんですよね。
あと、順番が大事で。
僕がトップにいるからいいんだと思います。
これ、逆だとダメで。
菊池:どうしてですか?
遠山:付け加えると、合理的な社長や上司の下って
ことだけど。
会社って、未来はどうなるかわからないけれど、
より合理的に見えるような数字を並べたてて
行く先を決めていきますよね。
自分たちをだましながらやっていくでしょ。
わからないながらも。
菊池:そうですね(笑)
遠山:でも、センスとか、好き嫌いの問題って
うまく説明できないじゃないですか。
数字では出てこない感覚なんです。
それこそ、黒がいいという人が多いという
データがあっても
自分は白が好きだっていうこともある。
でも、データで見せられたほうが、
説得力があるでしょ、やっぱり。
だから、もしトップが合理的な人だったら、
なかなか言葉で説明できない感覚的な部分を
通すのはうまくいかないんじゃないかと。
菊池:たしかに。
遠山:前職時代は、ありがたい事に上司に恵まれたから、
起業するときもうまくいったけど、
いま、また大きな組織にいって同じことをやれって
言われても無理ですよ。
「遠山くん、これ、3年後どうなるの?」
って聞かれても、
「わかんないです」、なんて言ったら、
普通アウトでしょ(笑)
一同:(笑)。
遠山:ハイブリッドっていうかね
ビジネス脳とアート脳
両方あるからいいのかもしれないですね。
菊池:これまで多くの企業はビジネス脳をもったひとの
採用や教育を重視してきました。
これからは、感性や表現力が豊かな人材を採用したり
育てるってことも大切になってくるのでしょうね。
村尾:そうですね。
ビジネス書もいいですが
美術館やライブを見に行ったり
そんな時間が新しい発想を生み出す
感性を磨いていくのだと思いますよ。
菊池:今日はとても興味深い話がたくさん伺えました。
遠山さんと村尾さんの頭の中が
少しのぞけた気がします(笑)!
ありがとうございます!!
(おわり)
最後は、スマイルズさんのセミナールーム内で、ふたりの記念写真をパチリ。テーマは、フランスにいるおじさんの家に遊びに来た親戚の男の子、らしいです(笑)。
これまでのビジネス常識や慣習にとらわれることなく、おふたりの頭の中には、これまで自らの経験と感性で磨かれた「ビジネスのやり方」が詰まっていました。そして、実に楽しそうに新しいビジネスを生み出していくその姿に、ひとは引き寄せられるのでしょうね。